同期

 

豆腐のセロファンと瘡蓋が同期

(とうふのせろふぁんとかさぶたがどうき)

(季語なし。自由律俳句)

愛犬ベルは
豆腐が大好物でした。
豆腐のセロファンを
わたしがペリっと剥がすと
彼女は部屋のどこにいても
一目散に台所に
猛突進してきたものでした。
でも、今となっては
セロファンを
何度剥がそうが
台所には
彼女の姿は現れず
なんとも言えない
寂しさに襲われます。
セロファンを剥がすたび
塞がりかけた
わたしの悲しみの瘡蓋は、
いとも簡単に
剥けてしまうのです。