豆腐のセロファンと瘡蓋が同期 (とうふのせろふぁんとかさぶたがどうき) (季語なし。自由律俳句) 愛犬ベルは 豆腐が大好物でした。 豆腐のセロファンを わたしがペリっと剥がすと 彼女は部屋のどこにいても 一目散に台所に 猛突進してきたものでした。 でも、今となっては セロファンを 何度剥がそうが 台所には 彼女の姿は現れず なんとも言えない 寂しさに襲われます。 セロファンを剥がすたび 塞がりかけた わたしの悲しみの瘡蓋は、 いとも簡単に 剥けてしまうのです。