花の雲阿弥陀と渡る心地かな
(はなのくもあみだとわたるここちかな)
「花の雲」とは桜がまるで湧き立つ雲のように
咲いている様を言い表した春の季語です。
和歌などにもよく詠まれており、
平安絵巻等にも描かれている光景です。
満開の桜の下を夢見心地で歩いていると
時々、「ここは本当に現世だろうか?」と
自分の頬をつねって
確かめたくなるような瞬間があります。
そんな神々しい時間を
阿弥陀来迎図に託して詠んでみたのが
この句です。
阿弥陀様と一緒に雲居を渡る心地だなんて・・・
ちょっと恐れ多いですが、
私にとってはそれほどに
桜時間は夢うつつなひと時なのです。