あやまちの朝こそ凛と白木蓮  

落椿白む鳥居の際立てり （おちつばきしろむとりいのきわだてり）   いつも散歩にいく天満宮。 手水舎の裏側になんとなく回り込むと そこには目を見張るほどの艶やかな光景が 広がっていたのでした。 地面に散った紅椿の先には 普段は灰色に見えていた鳥居が佇んでいます。 それが見れば見るほどに何故だか いよいよ白く際...

花の雲阿弥陀と渡る心地かな （はなのくもあみだとわたるここちかな）   「花の雲」とは桜がまるで湧き立つ雲のように 咲いている様を言い表した春の季語です。 和歌などにもよく詠まれており、 平安絵巻等にも描かれている光景です。 満開の桜の下を夢見心地で歩いていると 時々、「ここは本当に現世だろうか？」と 自分の...

  花曇りコサージュの位置定まらず

スノーフレーク諸手に園児つなぎ留め

春雨に眉間撃たれ疼く海馬 （はるさめにみけんうたれうずくかいば）   一見物腰の柔らかい降り始めの春雨ほど 肌を鋭く刺すような衝撃を感じるのは なぜでしょうか？ 海馬（かいば）は脳内にある 記憶保持をつかさどる場所。 春は出会いと別れの季節。 まだ忘れられない記憶が 春の雨に打たれてじくじくと疼き出す。 ね、...

来し方を讃えるように花薺 （きしかたをたたえるようにはななずな）   来し方とは過去、過去の日々のこと。 花薺は春の季語。 ぺんぺん草と言う 呼び方の方が 親しまれているかも 知れません。 春の田に咲いた 無数の花薺。 通り過ぎた背後から 自分の過ごしてきた日々を 讃える拍手の音がしたら どんな気持ちだろう？...

利き足のヒール取られて春の虹 （ききあしのヒールとられてはるのにじ）   普段から、割と虹を見逃すことが多く、 友人たちがSNS等で「虹が見えた！」と 写真をアップしているのをもっぱら 指をくわえて眺めてばかりのわたしでした。 それが今日、 春の嵐が今まさに去ろうとしていた時のこと、 西の空が茜色に黄昏るのを...

春塵に三歩下がって追う背中 （しゅんじんにさんぽさがっておうせなか） ローム層の関東地方は 冬は雨が少ないために 春先の大地は乾いて砂ぼこりが立ちやすい。 春の強い風に煽られて起こる砂嵐のことを 春塵といいます。   三歩下がって・・とくれば、 「師の影を踏まず」です。 肩を並べてみたいけど・・・ 少し恐れ多...